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     アジアの伝統・アジアの現代2019に参加して
                                                小林由直
      2月22日に東京・上野の旧東京音楽学校奏楽堂で開催された「アジアの伝統・アジアの現代2019」に参
     加させて頂きました。旧奏楽堂は、趣のある外観はそのままに、内部が綺麗にリニューアルされていまし
     た。タイの伝統楽器であるラナートは、舟形の箱に木琴を載せたような楽器で、平均律によらない音階が
     神秘的でした。タイの作曲家との交流も目的の一つであったので、事前に名前を覚えようとしたものの、
     これが難しい。呼び方を教えていただいてから必死に覚えました。
      拙作「波打つ音」は、最初に演奏されました。おそらく今回の作品の中では最も従来的な記譜で書かれ
     ており、調性はないものの、様々に波打つ音のやりとりの中に自分なりの「歌」を込めたつもりです。本
     番2日前に急に指揮をすることになり、アタフタしましたが、次第に作曲者の目線(音を細かく見てしま
     う)から指揮者の感覚(音楽を引っ張っていく)に切り替え、奏者の皆さんの助けもあって、本番は楽し
     く振らせて頂きました。本作で特に活躍するホルンは、加藤智浩さんが見事に吹いて下さいました。
      披露された作品は何れも個性的でした。パンチュラアンポーンさんの「トリ」はラナートが入り、ヴァ
     イオリン奏者は立ったまま手で楽器を抱え持ち、指でかき鳴らす楽しげな作品。遠藤雅夫さんの「〈紡ぐ〉
     ヴァージョンⅡ」は、4つの木管楽器の音を色々な紡ぎ方で聴かせる作品。また、サクスリー(ヴォンタ
     ラドン)さんの「瞬く間に」や菅野由弘さんの「球形の鏡」は、大変緊張度の髙い作品でした。前述の「
     トリ」とヴァネイソンさんの「ヴェダナ」では川島素晴さんがキレのある指揮をされていました。いずれ
     も厳しい音楽のはずなのですが、会場にはどこか暖かい雰囲気が漂い、タイのお国柄なのかなあと思いま
     した。タイではまだまだ現代音楽の演奏は多くないそうで、作曲者の要求を音にしてくれる奏者やホール
     が揃っている日本の環境は素晴らしいとおっしゃっていました。
      最後に、このコンサートに参加する機会を与えてくださいました菅野会長をはじめとする各委員の皆様、
     事務局・運営スタッフの皆様、そして奏者の皆様に心から感謝いたします。8月にはバンコクで同じ作品
     を演奏していただく予定で、こちらも楽しみです。

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