室元 拓人

1997年、京都府京都市生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。
現在、同大学院音楽研究科修士課程作曲専攻在学中。これまでに、作曲を平松良太、小倉啓介、鈴木純明の各氏に師事。
2021年、第37回現音作曲新人賞入選。第90回日本音楽コンクール作曲部門第3位。

作品はこれまでに、藝大フィルハーモニア管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、フラックス弦楽四重奏団、アンサンブル・コンタンポランなど国内外の個人、団体によって演奏されている。2021年度公益財団法人クマ財団第5期奨学生。

スッパ・ネ・スパ?
本作品は、日本の戦国時代に活躍した「スッパ」から着想を得た作品である。「スッパ」とは、戦国の世において敵陣の情報を盗み聞いたり山賊として働く職業で、その後「忍び」や「忍者」に発展したものである。本作品では、クラリネットとサクソフォン奏者が「スッパ」の役割を担う。冒頭ではこの2人の奏者が、チェロ奏者の背後、パテーションの裏に隠れ姿を露わにせず、チェロと一体化してノイズを奏でている。次第に2人の奏者は楽音への逸脱を試みるが、それはチェロ奏者の身振りによって直ちにノイズへと収斂される。ようやく異変に気づいたチェロ奏者が紙鉄砲を鳴らすと、ついに2人の奏者が姿を現す。最後は、重音やバルトーク・ピッチカートによって、音が激しくぶつかり合うようなセクションによって締め括られる。