リチャード・ツァン(香港 / UK)

リチャード・ツァンは、香港作曲家連盟設立時から当協会の会長やアジア作曲家連盟の副会長を長年務め、2013年にはACLの名誉会員に選出された。1923年に設立された国際現代音楽協会の会長にヨーロッパ以外の地域から初めて選出され、2002年から2008年までに2期会長として活躍した。
教育の分野では香港教育大学において音楽科の教授、学部長の職を務め「クリエイティブ・ミュージッキング」のコンセプトや実施の調査・振興に深く関与した。
また1979年以来、香港ラジオテレビジョンでプロデューサー、英語番組のチーフとして経験を積んだ。長年、現代音楽の振興のために活動を行い、多くの国際音楽祭や現代音楽分野の交流事業を主導してきた。職を退いたのち、最近では香港と英国を行き来し孫たちとの時間を楽しんでいる。

At Ease - for piano quintet - (くつろいで-ピアノ五重奏のための)

この作品の着想は、コロナウィルスによるパンデミックと私の個人的な経験により得たものである。昨今の隔離措置、グローバル経済や人との交流の減少は、確実に多くの人々に不安をもたらした。
私たち作曲家にも。

この作品タイトルは、この恐怖と緊張の状況にあっては、“希望的観測”と言えるものかもしれない。到達することのできない平和や静けさを探そうという試みが、音楽によって皮肉たっぷりに描かれる。聴衆は、かなりの時間、異なる拍子の中の強烈な不協和音と落ち着きのないリズムによって緊張にさらされる。一方、繰り返し登場する静けさは、対立が起こることをほのめかしている。