2019年の演奏会に戻る

  

 

JFCアンデパンダン第2夜に参加して                   村上和隆

 もともとアンデパンダンとは、フランスの独立美術家協会のことで、官展に対抗して組織され、1884年以来無審査の展覧会を開催したのに由来しています。アンデパンダン展出身の画家としてはアンリ・ルソーが有名でしょう。市税関に勤めながら、日曜画家として絵を描き、42歳になって初めてアンデパンダンに出品しました。私も今回JFCアンデパンダンに39歳で初出品させていただきました。アンリ・ルソーと似た境遇の故、巨匠に僭越ながら自らと重ね合わせているところがありました。

 JFCアンデパンダンの魅力は、何といっても編成、調性の有無等、全てにおいて自由であるとこです。実際、今回のJFCアンデパンダンでも実に多彩な編成、作風で聴衆からは「それぞれの思いが込められていた」との感想をいただいております。

 ところで、現代では音楽大学が星のごとく存在し、音大ではなくとも個人レッスン、教室等、過の時代に比べれば誰もが格段に音楽にアクセスしやすい環境が整っています。にもかかわらずバロックや古典派、ロマン派時代に比べれば、残念ながら何か停滞しているように思います。それはあらゆるジャンルの音楽を手軽に入手できる時代で、そもそも音楽自体に新しい発見を見いだせない状況にあるからでしょうか。正直、私には理由は分かりません。しかし私はまだまだ音楽の可能性を信じています。

 私たちは、未来の音楽文化を創造する担い手であります。令和という新しい章が幕開けた今こそもう一度、「音楽とは何か」考える時期に来たのだと思います。私はこのJFCアンデパンダン展で今後も継続して出品させていただき自分なりの答えを提示していきたいです。

 令和元年の今回から豊洲シビックホールでの開催となりました。舞台の背景は東京湾で、演奏者・聴衆ともにユートピア的な感覚を覚えると好評を得ております。私としても素敵な会場で初演いただいたことは一生忘れられない記憶となりました。

 最後になりましたが、JFC事務局の皆様の機敏な運営によって、コンサートが無事に成立したこと、深く感謝を申し上げます。

                                                 ホームに戻る