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「日本の作曲家2019第1夜-JFCニューカマーズ」に参加して        大木嵩雄
      
 この度、このような意欲的な演奏会に参加させて頂けたことに、まず感謝いたします。普段の音楽活動している分野が違うこともあり、きっと私の作品はさぞかし(悪い意味で)浮くのだろうと思っていましたが、蓋を開けてみれば多種多様な作品が揃っており、そのような不安は杞憂に終わったのでした。このような印象的で多様な(かつ纏まりがないわけでもない)演奏会プログラムになったのも、川島素晴氏の巧みな人選によるものであると思うと、本当に頭があがりません。

 今回特に印象に残ったのは、フィボナッチ数列から着想を得たという高橋未央氏の作品でした。実際の演奏に触れる前、プログラムノートを拝見した時には、もっと幻覚で、数列に支配されたような音楽をお書きになったのかと思っていましたが、実際の演奏に触れてみると、数列の気配は感じるものの、それ以上に、もっとシンプルに音楽的な喜びを感じる作品でした。私は今回「Phantom」などという数列とは対極にいる実証されていないものを扱ってしまうほどであるし、数式などは興味のかけらもないのだが、その私が、数式から着想を得た作品に触れた時、そこに興味を持ったことに何よりも驚き、感動いたしました。
 また横田直行氏の作品では、私と近い印象のテーマを扱っておられ、大変親近感を覚えました。横田氏がインスピレーションを受けたという絵画にも、今度折を見て触れてみたいと思います。
 そして今回、最後に演奏された川島素晴氏による編曲の「アトールⅡ」には大変感銘を受けました。この作品がまるで、この編成で作曲されたかのような見事な編曲で、一音一音に音の豊かさを感じました。
 あまり現代音楽に触れる機会のない聴衆の方も「最後の曲は本当に見事だった」と仰っており、今回のこの演奏会で、もっと現代音楽が上演される機会が増えて、広く紹介されるといいなと感じました。

  最後になりましたが、この度、素晴らしい演奏をして下さった板倉康明氏と、現代奏造Tokyoの皆さんに感謝申し上げます。

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