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アジア音楽祭2022 in Kawasaki オーケストラコンサート      四反田 素幸
 
 演奏された全5作品のリハーサルからゲネプロ、本番まで全て聴かせて頂きました。2日間にわたるリハへの立ち合いは刺激的で有益な体験でした。水野みか子さんと松波匠太郎さんとはリハの休憩時間にお話をさせて頂き、お二人の作品に触れながら交流が出来たのも大変有意義でした。水野さんの作品は管楽器が良く鳴っていて弦楽器との対比が明瞭で、一貫した緊張感の持続力に感じ入りました。松波さんの作品のリハでは、音楽の形が徐々に整えられ、メッセージがクリヤーに描かれていく様子がとても興味深かったです。お二人の作品とも本番の演奏は聴き応えがありました。
 JFCの前会長でアジア作曲家連盟の会長でもあった松下功さんを私は若い頃から存じ上げておりましたので、息を吞むようなダイナミックな音楽の展開に松下さんらしい個性を感じながら、数々の思い出と共に作品を聴いておりました。現在のアジア作曲家連盟会長のダン・ユハスさんは来日が叶わず、1回目のリハーサルのみリモートで参加されました。作品の冒頭と最後の2台のスネア・ドラムによる静かな対話や、弦の音列のような無調的な旋律線が印象に残っています。
 私自身の作品についてはオーケストレーションが上手くいったかどうかが気になっていました。リハを聴いて、期待どおりのサウンドになっていたところもあれば、そうでもなかったところもあり、いくつかの課題を確認出来ました。3管編成のオーケストラ作品がプロオケによって演奏されるというのは、私には極めて稀な事ですから、本当に貴重な機会を頂いたと感謝しています。
 現代作品を5曲演奏するのは、さぞかし大変だっただろうと想像しますが、高関健さん指揮の東京交響楽団の方々は、私の作品については申し分のない演奏をして下さいました。他の方の作品もかなり良い演奏だったように思います。
 最後になりましたが、共催して下さった川崎市文化財団様、コンサートの実施にご尽力下さった皆様方に厚く御礼申し上げます。

                                  
               
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