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第25回JFCアンデパンダン(第2夜)に出品して           木下 大輔
 
 いやあ、はじめての経験だった。この種の(現代作曲家作品オムニバス)演奏会で、演奏者退場後も拍手が鳴り止まなかったというのは。

 第25JFCアンデパンダン(第2夜)にて、拙作《夏のソナティナ》が、山本楓(オーボエ)、羽石道代(ピアノ)の両氏により演奏された。

 それほどにお2人の演奏がすばらしく、お客様の心を打ったということ。言葉で形容する必要もない。感謝に堪えない。

 当夜のプログラムノートにも書いたが、本作は、オカリナ奏者・山村多恵子氏の委嘱により作曲。したがってオーボエでもオカリナでも演奏可能。夏という季節の持つ独特の寂寥感、心の高揚(祭り)という孤独。そうしたものを表象しようとした。平易なスタイルと形式を心がけたものの、コロナ禍による諸事に疲弊しきっていた2021年にあって、気力を絞るようにして書き進めた。仕合わせなことに、今年5月のオカリナでの初演に続いて、今回のオーボエ版初演を、ともに比類ない演奏家のおかげで成功裏に終えることができた。まったく勝手な主観だが、世界中を覆った長かったトンネルの出口が間近であることを啓示されたような思いである。

 当夜ご一緒した6名の作曲家(上野未致子、池上敏、鈴木豊乃、二宮毅、齊藤武、中村彩子の各氏)は、奇しくも皆様旧知の親しい方ばかり。編成もスタイルもさまざまな諸作品を現世の響きで存分に味わえた充実の一夜だった。アンデパンダン展に出品するのはこれで8回目だが、あらためてそのリベラルさ、温かさと豊潤さに感じ入った次第。ご来聴くださったお客様、お世話になった方々、ありがとうございました。

 

                                  
               
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