ダン・ユハス(イスラエル)

1947年生まれ。テルアヴィヴのルービンアカデミーでピアノと作曲を学んだ後、ロンドン、パリで研鑽を積む。イスラエル交響楽団、イスラエル室内オーケストラ、エルサレム交響楽団、アルディッティ弦楽四重奏団、シュトゥットガルトノイエヴォーカルゾリステン、アンサンブル・モデルンなどイスラエル、ヨーロッパ、アジアの多くのアンサンブル、演奏家によって、作品が演奏されている。アクム賞(1987年)、プライムミニスター賞(1988年)、オーケストラ作品に対してはリーバーソン賞(1998年)など多数受賞。

2008年にはコウセヴィッキー財団よりコウセヴィッキー賞、2009年にはナショナルロタリー賞とプライムミニスター賞を再受賞。2015年には、アンサンブル・モデルンが演奏した“Repercussions“が、アクム賞の年間業績賞を受賞。

ユハスはイスラエル・コンテンポラリー・プレイヤーズ、テルアヴィヴ電子音楽センターの創立者でディレクター。テルアヴィヴ大学ブキャナン―メータ音楽学校で、対位法と作曲を教えている。2018年よりアジア作曲家連盟会長。

Reflections(イスラエル交響楽団委嘱作品)
題名の『リフレクションズ』という言葉は、熟考、回想、思い出など様々な意味を持つ。バルトークの『管弦楽のための協奏曲』が想起されるだろうが、まさにその曲の素材が使用されている。
作品は三台のスネアドラムによるリズムテーマの披露から始まる。
このテーマは弦楽器をはじめとするほかの楽器に引き継がれながら、最後まで聞こえる。
フルートの超然とした、また内省的な音がメロディーで始まり、遠い昔から聞こえてくるような独特な音を持つオーボエへと引き継がれる。スネアドラムは、バルトークの『管弦楽のための協奏曲』の『対の遊び』と、ジャズの響きの両方を彷彿とさせる。オーケストラ的な響きは、個々の楽器による室内楽的な響きや、
様々な楽器のソロパッセージと時々入れ替わる。作品の最後の部分で全楽器が一つになり、濃密なオーケストラのテクスチャーを奏でる。終盤に向かい、最初のフルート・ソロとパラレルとなるクラリネット・ソロが、その影のような二本のクラリネットと一つになる。弦楽器奏者の機械的な動きを以て、ドラムによる冒頭のリズムは解体され、作品は幕を閉じる。
この作品を妻のヤエルに捧げる。