小栗 舞花

小さな音 / 音色探求 / 揺らぎのある時間 / 音楽コミュニケーション / 暗闇 / アンプラグド等の要素を含めながら、今ここにその場で立ち現れたかのような繊細な音楽を導き出している。その音楽の脆さから、通常の音楽作品よりも上演場所や聴衆の規模や性格を選ぶ作品が多い。現在国立音楽大学院修士課程に在籍し、即興演奏あるいは単なるコミュニケーションの延長線上のものとして創られる音楽の、互いに音を聴き合い、適応し続け、反応しあう過程に着目し、研究を進めている。

誰かさんの産声
8台の大きめの手作りスプリングドラムを空間配置して上演する作品。演奏内容には、次のような行為が含まれる。まわりの音やリズムに反応し、返答のように返してみたり行為を真似てみたり、タイミングを同期したりする行為。そうした繋がりをあえて崩したり、新しい要素を提案する行為。楽器の大きさや重さから安定しにくいにも関わらず、奏法の中で純な倍音を見つけることに夢中になり何度も繰り返す行為。さらに、それを筒のなかで育て拡声する行為など・・・。そうした営みを伴った結果としてこの1つながりの音楽が立ち現れるのだ。