遠藤 雅夫

1947年東京生まれ。東京藝大大学院修了。日本音楽コンクール入選、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。管弦楽、室内楽、歌曲、NHK委嘱による電子音楽など、広い分野で作品を残してきたが、近年は室内楽作品及び歌曲に創作の中心を据えている。

ACLISCMを始めとして国内外で作品が多数演奏されている。

現在、日本・ロシア音楽家協会運営委員長。(一社)日本作曲家協議会、日本現代音楽協会、21世紀音楽の会会員、越の風会友。

写し クラリネットとチェロのために

「生への郷愁が君の作品にはいつも感じられる」友人の言葉だ。
この言葉を手掛かりとした。全4楽章を通じて二者の関係は対立でも寄り添いでもない、一種のフィルターを透過「写し」となっている。あちらこちらにフリーズが挿入され、ここでは漆黒の闇が要求される。時々現れる長短三和音には純正率で合わせる綿密な音程微調整が書き込まれている。常にピアニッシモのクラリネットの重音は霧がかかった背景を演出している。
2021531日完成。